先日、横浜そごうで開催中のMC・エッシャー展に行ってきた、Moqsです。
「だまし絵」などで有名なエッシャーの作品は前々から知ってはいたものの、それ以外についてはあまり知らなかったので、少し楽しみでした。
まず最初に目に留まったのは、24の寓意画:美術史家でもある詩人G.J.ホーグウェルフのラテン語の4行詩に寓意画という目に見えないものや形のないものを擬人化させた静物画の木版画をつけたもの。
その24枚のなかでもグッときたのは「標識」という一枚。心を打つメッセージはそのシンプルな版画によって、より際立ちます。

「自由にあなたの道を選びなさい。
いったん選んだら、良くても悪くてもそれを続けなさい。
(別の道は閉ざされているのですから。)」
そして、こちらはリトグラフの「三つの世界」。

水面に映る遠くの立っている木がある地上の世界。
水面に浮かぶ枯葉の世界。
水面下に泳ぐ魚の世界。
日常でもあり得る風景ですが、とても幻想的です。
そして、ここからエッシャーは少しずつ、古典的な版画や図法から「平面の正規分割」という幾何学的な表現へと変化していきます。「出会い/遭遇」にはその平面の正規分割がみられます。一説には黒は悲観論者、白は楽天家。手前と奥、2次元と3次元を行き来し、2種類の人が1つになる。陰陽思想を思い浮かべます。

そして晩年、トカゲが無限に模様を作りだす「徐々に小さく」(木版画)のように、 より数学的な図法に変わっていきますが、気付いたのはエッシャーの作品には必ず、「生」が含まれています。幾何学模様やデザインがあっても、それがいつの間にか生き物に変わったり。標識と行った無生物に命を吹き込んだり。

どう騙されるか楽しみに行ったこのエッシャー展。騙された、と言うよりは考えさせられたという方が良いかもしれません。ただ単に緻密に計算された錯覚を作り出すよりかは、思った以上に人間的で、哲学的なエッシャーの世界でした。